ただのジムリーダーと挑戦者の関係だった。それだけだった。ただ俺があの子に恋をしただけだ。別に美人だとかかわいいだとか、そんなものじゃなかった。好きになった。理由は、なかったんだ。(なんでこんなにも)あの子が俺のジムに遊びに来てくれるたび胸が高鳴った。幸せだった。隣にいられるだけでよかった。「デンジさん」その声が、すべてが、俺を変えた。(やばい、すごい好きだ)無邪気な笑顔、動作、言葉。すべてに愛を感じた。でもこの想いを俺は告げてはならない。なぜか・・・なんて、言ってしまったら認めてしまうことになるだろう。俺もなんて諦めが悪いんだ、いい加減認めなければならないのに。初めて会ったときはいつだったかな、ああ、そうだ、あいつのジムにいたときだ。暇つぶしに遊びに行ったらあいつと話してる君がいたんだ。誰もがすぐにわかるぐらいの一目惚れだった。いつも適当に理由をこじつけて会いに行った。嫌がるそぶりを見せなかった君に俺は調子に乗っていた。でも、最終的に、俺は君に想いを告げることはできなかった。俺と一緒にいる君の視線の先には別の男がいた。そのときすぐにわかった。ああ、君は、あいつが好きなんだって。なんで前から俺は気づかなかったんだろう。俺じゃあ君を幸せに出来ないんだ。だから俺は、あいつの、ヒョウタの隣で笑う君を、ただ見ているだけで十分だ。



だれか、この想いに鍵をかけてくれないか?






2007.07.15(想いをすべて断ち切るために)