「ハヤトさん!」


笑顔を浮かべながら駆け寄ってくるに心の蔵がどきりと悲鳴を上げた。鼓動はどんどん速くなっていき、オレと同じように酸素を求める。あーやばいどうしよう、顔赤くなってたりしねーよな、大丈夫だよな。が近づいてくる度にオレの心は破裂しそうになる。実はもう破裂してるんじゃないかと、右手を胸に当ててみたけれど、心の蔵は相変わらずものすごいスピードで悲鳴を上げていた。いずれ破裂するだろうけど。


「見てください、エアームドです!」
がボールから出したエアームドは勇ましい声で鳴いた。というより吠えた。鋭い眼がぎろりとオレを睨んでいる。オレ何かしたかお前に。それから二、三度翼を羽ばたいたかと思うと、突然大人しくなり、そしてに甘えるように擦りついた。なるほど、お前、オレのライバルか。ぎろりとオレも睨み返してみたらエアームドと目が合った。


「戻って、エアームド」
流石にこれから会話するに至り、甘えてくるエアームドが邪魔だと思ったのか、はエアームドをボールへと戻した。ざまあみろと言いたかったけど、に嫌なやつだと思われたくなかったから心の中で散々言ってやった。ざまあみろ!


「こないだ捕まえたんです、あの子。捕まえる前から、捕まえたらハヤトさんに見せようと思ってて」
へらり、とオレに見せてくれた笑顔はとても可愛くて、先ほどまでゆっくりに戻っていた心の蔵の鼓動がまた早くなった。あーまだ破裂してなかったのか。オレの命日今日だからお前らよろしく!


「もしかして、一番にオレに見せてくれたのか?」
「はい!」
理由がなんであれ、一番に、オレに、って!!好きな子にそう言われて嬉しくない奴なんていないだろう!どうしよう今オレ心の蔵破裂してたりしないよな?俯きながら、また、右手を胸に当ててみた。相変わらず鼓動は早かったけど、液体のようなものは流れていなかった。良かった、まだ破裂してない。顔をあげてみたら微笑んだが目に入った。どうしよう、オレ、すげー幸せだ。




「これからジムのお仕事ですか?」
「い、いや、今日はもう仕事はないよ」
「それじゃあご飯でもどうですか?ちょっと遠出でもしましょうよ!」
やっぱり今日オレの心臓は破裂するらしい。これから好きな子と二人でご飯とか、どんだけ幸せ者なんだ、オレ。実はジムの仕事が少しだけあったけれど、この際気にしないことにした。明日やれば何とかなるだろう。
がエアームドを出して、続けて俺がピジョットを出した。エアームドがオレを睨んでいたような気もするけど無視、無視。今回はオレの勝ちだな、 エアームド!