「オレがさらっさらのストレートだったらお前どうするよ」「どうだろうなぁすごく好きになってるかも」「お前それほんとだなよしまっすぐにしてくる」「やだそんなのオーバじゃないよ」

オーバはくるくるの…いやくるくるじゃないね、もさもさのパーマでいいんだよ。が笑う。なんだよ、オレ今本気だったんだぞ。腹が立ったからの髪をぐしゃぐしゃと撫で回してやった。いい気味だ。オレより大分低い視点からの睨みなんて全然怖くない。防御、さがってねーよ、。そう言ったらがオレからするとかわいらしい(本人曰く)奇声をあげて、それからなきごえ!と楽しそうに言った。う、今のは色んな意味で攻撃下がった。


「オーバは今の髪型でいいよ!似合ってるし、わたしオーバのそのアフロ素敵だと思うもん!」「お前デンジにお菓子でももらったのか?」「お菓子で揺るぐわけないでしょ、ちょっとは信用してよ、オーバのばぁか!」「…おお、本気だったのか」「お菓子じゃなくてお昼ご飯だよ!」「そういう問題じゃねーだろ!」


やっぱりデンジに餌付けされてやがった。ちくしょうデンジの奴め覚えてろよ。今度お前が嫌な思いするようなことしてやるからな。
デンジへの復讐を心の中で決意してからをちらりと見やる。むっとしているのかは口を真一文字に結んでいた。そんな顔をしても全然怖くないのに、にとってその顔は『こわいかお』のつもりらしい。お前、その表情怖いどころか笑えるぞ。耐えきれずに溢すと、「ピヨピヨパンチ!」と言いながらオレの腹のあたりをポカポカと叩き始めた。どうしよう、全然痛くねぇ。こいつはどうしてこんなにかわいいんだ。そしてどうしてオレはこのバカが好きなんだ。「なんか反応してよ!」おお、悪い悪い。


「オーバのにぶちん」「にぶちんってなんだにぶちんって」「そのまんまです!」「オレがにぶちんだったらお前はただのバカだな」「バカですってー?!もうオーバとは口聞きませんからね!」「悪かったって。でもどうしてオレがにぶちんなんだよ?」「そ、それは…」


さっきのむっとした顔じゃない表情で口をつぐむ。心なしか顔が赤いような気がしないでもない。「それは?」続けて聞いてみても返事は全然返ってこないわけでして、オレとしてはもやもやしているわけなんですが、時間が少し経った今でもは口を開かない。「おい、なんか言えよ」キッとがオレを睨む。だから怖くねーって。「オーバのにぶちん」「だからなんでだよ」「わたしオーバが好きなの!ばか!!」






















走り去る彼女を追いかけることも出来ず、ただ呆然とその場に立ち尽くす。そんなに足速かったか?と思えるほどすごいスピードでの背中は見えなくなった。あいつ足速いな。そういやあいつ、暇な日はいつもオレのとこに来てたな。電話もよくくれてたし。バレンタインももらったし誕生日もプレゼントくれたし。あれ?そういやデンジは一度ももらったことないって言ってたような。…どうしよう、オレデンジにめっちゃ怒られそう。バカみたいに立ち尽くす今のオレはまさしく燃え尽きた灰だ。