「ボクは虫ポケモンが大好きなんです!」やっぱり虫ポケモンは最高だ!美しくてかっこよくて、非がない!「で、それがどうかしたんですか」呆れたように笑う彼女。なんなんだ、別にいいじゃないか、ボクが好きなものを叫んだって。「虫ポケモンってなんであんなにパーフェクトなんでしょう!」アゲハントの美しい羽、ビークインの美しいフォルム。本当に、非の打ちどころがない!そんな彼らにボクは到底及ばない。「そうですねえ」相変わらず彼女は、退屈そうだ。(失礼な人ですね)

(いつみても美しいポケモンだ!)きゅ、きゅ、とボールを磨いていたら視線を感じた。退屈そうにしていた彼女だった。「ああ、ごめん」謝ったと思ったら視線を窓に移して、それから、瞼を閉じた。「暇だなあ」小さく小さく、彼女はそう言った。暇ならでかければいいのに、こんなリーグにいないで。挑戦者がいないリーグは本当に暇だ。四天王もお互いに持ち場を離れることなんてないし、会いにくるとかそういうこともない。たまにふらーりと出かけることはあるけれど。(オーバなんていつも出かけててみんなに迷惑かけてるし)実のところ、ボクも非常に退屈だ。

「リョウってほんとに虫ポケモンすきだよね」あきれたようにため息をつかれたので少し腹がたった。ぎろ、と睨んでみても彼女は全然表情を変えない。「あたりまえでしょう、ボクは虫ポケモンに憧れているんですから」ふん、と息を荒くはいたあと、まだボールを磨き始める。いけない、擦りすぎてちょっとはげてきた。

「じゃあ、君はなにが好きなんです?」「えー・・・」微妙な間をおいて、一言。
「そんなリョウが好きかなあ」にへら、彼女が笑った。




変わり



(あっという間に僕の心は彼女でいっぱいになってしまったのです!)