水の中からでも、外からでも見える太陽は、なんだかあたしには眩しすぎて直視できない。きれいすぎる太陽があたしを見てる気がする。大事なひとと、そっと被った。太陽は、水の中にいるあたしをも照らした。もし、太陽に意思があったとしたら、太陽はあたしを照らすなんてことはしないだろう。(だってあたしは、よごれている)ゴーグルのおかげで、世界はあおく見える。もしこのゴーグルがなかったら、世界はぼやけてみえた。そのうえ、目が痛くなってたと思う。ごぼごぼと、空気が水面へと上がっていった。昨日転んでできた傷に海水がよくしみる。これで、はやく直るんだったらとくだけど、多分、今日もまた転ぶから意味が無いと思う。(自慢じゃないけど、最近は一日5回の割合で転ぶ)(厄日というわけじゃないのに)この深さまでつれて来てくれたラグラージにお礼をいおう。苦労かけちゃってごめんね。ボール越しにみえるラグラージはあたしのことを心配しているみたいだ。(ポケモンもださないで水の中にただ、いる)(いうなれば、ただ、溺れているだけ)泳げないわけじゃない。ただ、服着たままだからおもいんだ。あんまりにもやる気がなくて、なんだか今日は鬱で、ただ、それだけで海の中に落ちた。上がる気力なんてない。だって、ルネシティに向かう途中で面倒くさくなったんだよ。ラグラージも疲れてたから、無謀だけど、こっからは泳いでみようかなー、なんて。多分、途中で危なくなってもこの辺にはトレーナーさん、たくさんいるから、死ぬことは無い。まあ、あたしの体がきちんと水面まであがればの話だ。ごぼごぼ、ごぼごぼ。また、あたしの酸素が水面へとあがっていった。(なんだおまえら、あたしのこと嫌いなのかよ)ちらりとみえたチョンチーになんだか無性に腹が立った。ただの八つ当たりだ。ごぼ、今度は水を飲んでしまった。ああ、もうあたしのなかに酸素はない。苦しい、苦しい。ゴーグルの隙間から水が入ってきた。少しずつだからなんとかセーフ。遠すぎる水面に向かって手を伸ばしたら、何かに腕をつかまれて、そのまま水面に引っ張られていった。

「なに、やってたんだよ」
死にたかったのか?低くも高くもない、あたしの大好きな声が聞こえた。おもいっきり息を吸った。おかえりあたしの酸素。さよなら、世界を壊す二酸化炭素。海からあがったときに飲んだ海水がしょっぱくて顔を歪めた。べし、って頭を叩かれた。そこまで痛くはない。多分、20パーセントの確立で彼の優しさ。あと全部はまぐれ。唇がしょっぺーなんて思ってくちびるを舐めようとしたらちゅーをされた。よろこんでいいかわからないけど、引き上げてくれた彼のポケモンは目線をそらしていた。

「お前がいなくなったら俺が悲しいだろ、」
ごめんね、ユウキくん、だいすきだよ。


(ただそっと、海の流れに身を任せて、そう、あたしは、ユウキくんだけをまつ)(たぶん、助けてほしかったんだ)





2006.10.16